カルチャー
2021年10月5日

【CSR/SDGs/サステナブル関連のニュース】
「第5回 サステナブル勉強会」を開催!【後編】

広報室CSR/SDGs推進の高山です。

 

サステナブル活動の社内浸透の一環として、結成した「サステナブル研究会」の活動として、5回目となる社内サステナブル勉強会を開催しました! 

 

このコンテンツは、社内へのサステナブル活動の情報伝達と社外のサステナブル推進に苦戦されている様々な企業のCSR、SDGs、サステナブル担当者の方々との情報共有を目的に作成しております。

 

さて、今回は、前回の第5回社内勉強会【前編】に続く【後編】をレポートいたします。ゲストに行政、大学、NPOの各セクターの方をお招きして開催したミニステークホルダーダイアログ。後半の内容は、「産官学民による未来づくりの可能性」に関するトークセッションです。皆様からSDGsのパートナーシップについて、各セクターの企業への期待、未来に必要な連携とはなどについてお話を伺いました。

 

<前編の記事はこちら>
社内のメンバーがはじめて出会う各セクターの視点

 

 

 

ーー今回の社内浸透テーマーー

 

なかなか普段は接点のない社外のセクターを勉強会にお招きし、視点の違いから新たな発見をしてもらう

 

ーーインデックスーー

 

1、Q&A
■企業が、地方創生やワーケーションなどで地域と連携を始めていますが、どのような視点で取り組めばよいのでしょうか?
■SDGsなどにより地域課題の解決に参加したいと手をあげる企業もいるかと思います。どのように他のセクターとつながればよいのでしょうか?
■今、企業が果たすべき責任としてもっとも大切な役割とは何でしょうか?
■これからの時代に生き残れる仕事とは
■行政職員が自分の担当を越えて他のセクターと連携するのは難しくないですか?

 

2、参加者の声
勉強会に参加した皆様の声を紹介させていただきます。

 

3、最後に
各セクターの皆様に企業へのメッセージをいただきました。

 

 

 

ーー1、Q&Aーー

 

Q.企業が、地方創生やワーケーションなどで地域と連携を始めていますが、どのような視点で取り組めばよいのでしょうか?

 

 

【学:大学】青木さん

 

新型コロナウイルスのまん延で、ワーケーションというキーワードが浮上しました。その打ち出し方に注目するとわがまちは「こんなに魅力があるところです」「こんなに自然があって山があって海があって」「歴史があって」というようなプロモーションが行われています。コンテンツの違いはあっても都会の人から見れば各地で内容はほとんど同じに見えてしまいます。コンテンツの「質」で競い合っているつもりになっているだけで、東京の人がワーケーションを考えても、おそらく明確な理由は見つけることはできないのではないでしょうか?

 

『ソトコト』という雑誌の中でも指摘されていましたが、地域にある魅力と思われるモノやコトだけではなく、その魅力が生かされるためにも「ここが足りない」と訴えて、必要な機能やファンクション、人材を伝えることで、縁がなくても役割があれば行くという判断が生まれます。この「関わり代」(かかわりしろ)に目を向けられるかどうかが重要で、「×」を減らすことで今ある「〇」をさらに輝かせることができます。

 

過疎化が進むエリアでは、徐々に大切な機能が減っていきます。サステナブルの実現には、どんな人が来てくれるともっとこの町がよくなるかを示し、役割を提供することが必要です。企業は、連携する際に、地域の側がもっとよくなるために足らないことにも目を向け、自社のリソースを活かした支援を考えるとよい取り組みになるのではないでしょうか?

 

 

 

Q.SDGsなどにより地域課題の解決に参加したいと手をあげる企業もいるかと思います。どのように他のセクターとつながればよいのでしょうか?

 

 

【官:行政】川端さん

 

例えば、今回インタビューを受けている産官学民未来創造コンソーシアムは三重県の事業がきっかけでスタートしています。三重県では以前NPOが県に事業を提案する制度がありましたが、当時は企業からの提案を受ける制度はありませんでした。しかし、企業の社会貢献活動が注目されるように伴い、NPOだけでなく、企業、そして大学なども巻き込んだ取組の必要性を感じるようになり、NPOと企業の連携の可能性を考えるワーキンググループを県主催で立ち上げたのがきっかけです。

 

当時、庁内でこの施策を打ち出した際には、「企業は協力してくるのか」「利益にならないことに企業は興味を示さないのでは」と質問されたのを覚えています。あれから時が経ち、今は総合計画の中でも企業との連携も加えた「マルチステークホルダー」という言葉が出てくるように、他セクターとの関わりが大切である、という視点が重要視されるようになっています。

 

行政とのつながりを考える際には、つながるための機会は「公平」であるということを認識する必要があると思います。理由もなしに特定の企業とだけ連携するわけにはいきませんので、「なぜその企業と組むのか、連携するのか」という問いに対して、明確に説明できる理由を作る必要になってくると思います。

 

【民:NPO】米山さん

 

確かに企業が他セクターと繋がろうとする傾向は強まってきましたね。それは素晴らしいことですし、本来、事業や商いはそうあるべきですよね。企業が他セクターと繋がる一歩目としては、地域課題解決や価値向上を語り合える「フューチャーセンター」のような場に目を向けて、そういう場に入り込むことが近道でしょう。貴重な現場の生の声ですから。そもそもNPOや市民活動は協働や連携、パートナーシップを大切にしているセクターですので、新しい考え、異なる考えを受け入れていこうという気質があります。ゆえにファシリテーションもワークショップも活発、ということです。ぜひ企業の方々には、企業だけが集う狭い集まりに留まることなく、多様なセクターの集まる場にも足を運んで耳を傾けてほしいです。新規ビジネスのヒントも〝世間〟にありますから。結果的に企業だけでなく、すべてのセクターが「もっとつながっていこう」、「もっとパートナーシップで価値を見出してみよう」という意識で向き合えば、視野が広がるはずです。SNSや調査会社に頼りがちで、直接、社会や世間の声は聴けていないものです。

 

※参照:三重県地方自治研究センターが発行した「フューチャーセンターの社会実装に関する研究報告書

※参照:三重県が発行した「フューチャーセッション運営マニュアル」

 

【産:企業】高山

 

そういう意味では三重県には、【民】や【官】が作るつながりの場がたくさんありますね。そういう場のない地域や見つけにくい地域があるように思いますが、いかがでしょうか?

 

【民:NPO】米山さん

 

まちづくりはひとづくりです。で、ひとづくりのためには場づくりですね。地域には「ここに場があるよ」と旗を振ってくれている人が必ずいます。たとえば中間支援組織がそうですね。そういう組織や人を探してください。旗を振る人物が、それを振りやすい地域は幸せですね。同様に企業内でもそういう〝つなぎ役〟をもっと大切にしたほうがいいと感じます。

 

【学:大学】青木さん

 

そういう視点で言えば、何かと地方の抱える課題が目立ちますが、都会の住みづらさもコロナ禍で浮き彫りになりました。例えば子育てを一つ取っても、都会でお母さん同士のコミュニティーづくりが行われていますが、地方から仕事の都合で都会に出てきた人たちは、人間関係を作り直すところから始めなければならず、バラバラの状態だからこそ「つながり」を求めてSNSなどを通じてコミュニティづくりをしなければならないのです。

 

地方は「減っていくこと」、都会は「欠落していること」で暮らしにくくなっているようです。地方とか都会とか関係なく、この暮らしにくさの解決のために企業や行政あるいはNPOなどがそれぞれできることは何かを考え、行動していくことが必要です。それが結果としてSDGsやCSRにつながっていきます。

 

企業は、顧客のために仕事に取り組んでいますが、従来の顧客だけにとらわれていて、実は新規顧客獲得につながりづらくなっている場合があります。気づかないうちに視野が狭くなっているのです。企業は、この産官学民連携のように、普通では出会わないセクターと行動を共にすることで、視野やステークホルダーが広がり、潜在顧客につながります。今見えていないところが見える「場」とか「つながり」の存在をつくることで、結果として社会や地域に目を向けることになり、そうしたことが地域にとっても企業にとっても新しい価値を生み出すことになってくると思います。

 

 

 

Q.今、企業が果たすべき責任としてもっとも大切な役割とは何でしょうか?

 

 

【民:NPO】米山さん

 

まず第一にしっかり稼いでいただきたいですね。そして〝正しく使ってほしい〟ですね。 稼ぎをどのように使っているかが、その企業の個性や価値観を表すでしょうし、そこに注目が集まる時代になりました。〝評判〟とか〝信頼〟とかですね。金銭より価値があると思います。

 

【学:大学】青木さん

 

もう少し特定すると、「稼ぐ力」と「人を育てる力」がある企業が「魅力ある企業」ではないかと考えています。
企業は稼がなければならない、今問われているのはその中身です。稼ぐプロセスで何をするのかが問われています。そしてそもそも何のために稼いでいるのか、その稼いだお金を何に使うのか、という企業のミッションや存在意義を改めて考えることが大事になってきています。
 また、これから人口減少社会になることが明白の中で、一人ひとりの人材が光り輝き、意欲を持って働ける場として、人育てができるような会社は、働き手からして魅力ある企業に見えます。お客様からも、働く人からも、地域からも「選ばれる」というところを目指すことが大事ではないかと思います。

 

【産:企業】高山

 

 愛社心、希望、場作りなど様々なキーワードが繋がってきますね。

 

【学:大学】青木さん

 

働き手もこの会社なら色んなことが出来そう、この会社なら成長できそう、やりがいをもってやれそうとか色々なことが気になっています。学生が就職活動するときに、やりがいや成長に関してとても敏感になっています。

 

 

 

Q.これからの時代に生き残れる仕事とは

 

 

【民:NPO】米山さん

 

これは即答できますね。AIにはできない仕事が生き残ります。堀江貴文さんと落合陽一さんの著書『10年後の仕事図鑑』にも、そのようなことが書かれてありましたね。

 

【学:大学】青木さん

 

強いものが生き残る、というふうに感じてしまうのが現代なのかもしれません。しかし、ダーウィンの法則でいえば、生き残ったものが強いということになりますね。要するに適合したものが生き残るということです。そういう意味では、どんな仕事も生き残れますね。
 虫や花も今あるものは、それぞれの分野で一番最先端の進化をした状態のものが生き残っている。状況の変化に適合すると言っても、その種や類の特徴は生かしつつ変化しています。何を変えるか、と同時に、何を変えないのか、を見極めることが必要です。そうやって、その分野で今の環境に最も適応して進化させることが出来れば、結果、生き残れるはずです。
 生き残れないと思うということは、進化する気がないということになります。

 

【民:NPO】米山さん

 

トランスフォーミングですね

 

 

 

Q.行政職員が自分の担当を越えて他のセクターと連携するのは難しくないですか?

 

 

【官:行政】川端さん

 

やはり、個人的には難しいことはないと思います。やり方、進め方は色々ですが、さまざまな企業の方とつながり、色々と話をすることで、視点が増えますし、アイデアの幅も膨らみます。もちろん例えば包括協定を結んだとしても、そこをきっかけにどうやって連携した取組を広げていくのかなどについては策を練って実践する必要がありますが、つながりの中から互いに強みを出し合って取組を実践し、街の課題を解決して、さらに街が発展すれば、職員としてこれほど嬉しい成果はないですし、職員のやりがいに繋がりますから!

 

【民:NPO】米山さん

 

意気込みの違い

 

【産:企業】高山

 

探せばいますよね。川端さんみたいな人が

 

【学:大学】青木さん

 

行政の人でも9時-17時で帰る人がいる一方で、定時終わり後に手弁当で勉強会を開く人もいて、割と色分けがはっきりしてますね。後者は、意欲があり、実現したいこともある。でも、今のままの自分では十分ではないし、今のままの職場ではどうにもできないから、地域に入り込み自分でつながりをつくったりしているのだと思います。

 

 

 

 

ーー2、参加者の声ーー

 

▶どうしても内向きな視点になりがちですが、外部の方のお話を聞ける機会があるのは、少しでも外を知れる機会になるので非常に良いと思います。

 

▶ニュースとは違った知見が得られました。

 

▶やはりご経験にもとづくお話や意見は迫力が違いますねー

 

 

 

ーー3、最後にーー

 

皆さんから企業へ期待することをメッセージとしていただきました。

 

【官:行政】川端さん

 

これから地域づくりのパートナーとして行政と企業がもっと連携していかなくてはいけません。そのための出会いの場が必要で、その場は、色々なきっかけで生まれると思います。企業の方には、ぜひ、色々な場に参加してつながりを持っていただきたいです。これからも個人としては、企業の皆様とパートナーを組んでいきたいと思っています。

 

【学:大学】青木さん

 

あるのに使われていないものがそこら中に転がっています。それを拾い上げてみて、色々とつなげてみてはいかがでしょうか。また情報の発信も重要です。伝わっていないだけということがあるので、発信力を高め、HPなどで、取り組みや人材、考えを伝えてください。文字なのか、動画なのかも含めてどのように発信力を高めていくかを考えるだけでも随分変わるのではと思います。

 

【民:NPO】米山さん

 

これからは「課題解決型企業」の視点で測られる時代になってきます。その企業は何の課題を解決しているのかという視点で外部からは確認され、内部では事業と向き合うこととなります。自然に地域社会に目を向けざるを得なくなり、公益という視点の重要性が加速すると思われます。「稼ぐために働く」だけではなく、「社会の役に立つ」と価値観や表現が変わることにより、必要とされる企業や社員が増えれば、もっと暮らしやすい社会や企業になれると思います。

 

 

 

 

 

【前編】【後編】と2回に分けてお伝えさせていただいた第5回サステナブル勉強会のレポートは、いかがでしたでしょうか。次回は、「同業者のサステナブル活動分析」をテーマとした勉強会の内容をレポート致します。ぜひ、ご期待ください。

 

<過去の記事>
第1回内容
第2回内容
第3回内容
第4回内容
第5回前編内容

 

 

ネオキャリアでは、サステナブル、CSR、SDGsなどの研修や勉強会のご依頼、企業連携による合同勉強会の開催、サステナブルパートナーシップ連携などを受け付けております。詳細は、下記メールまでお問い合わせください。

 

<ネオキャリア広報室CSR/SDGs推進 担当:高山>
kohei.takayama@neo-career.co.jp

 

 

 

カッパのおっちゃん

ネオキャリア社長室/サステナブル推進。日本サッカー協会公認B級指導者ライセンスを持つCSR推進担当者。1997年~2020年までロベルト本郷に憧れて様々な地域で子ども達にサッカーを教える。その傍ら渋沢栄一に憧れCSRの推進に目覚める。2020年4月にサステナブル担当としてネオキャリアに中途入社。通称「カッパのおっちゃん」として、社内のファミリーイベントを中心に活躍。