カルチャー
2021年12月8日

NPOと企業の協働のポイントと見せ方 ~成功した2つの協働事例を紹介~

ステークホルダーインタビュー

 

広報室CSR/SDGs推進改め、社長室サステナブル推進の高山です。

 

今回は、私がサステナブル活動を進めるにあたり、これまでにたくさんのアドバイスや協働をさせていただいている三重県のNPO法人「Mブリッジ」の米山さんを例に挙げて、米山さんへのインタビューと共にNPOと企業の協働についてお話しさせていただきたいと思います。

 

まずは、米山さんのご紹介から。

 

 

 

三重県庁職員向けの研修や東海、関西エリアのSDGs研修、企業のサステナブル推進アドバイザーなど産官学民様々なセクターのサステナブルやSDGs、CSRの推進支援や講座など年間100件以上の依頼を受ける米山さん。中間支援としてNPOだけでなく、企業の非営利活動についても支援をする特徴的なNPOの代表理事です。

 

経済産業省のソーシャルビジネス55選

 

NPO法人「Mブリッジ」は、ブリッジという名前の通りに「橋渡し」をテーマに地域でセンター機能、調整役を担っているNPOです。経済産業省のソーシャルビジネス55選に選ばれた団体で、松阪市市民活動センターの管理をしながら、時流を読みいわば「万屋」のようにサステナブルに活動しています。

■NPO法人Mブリッジ http://m-bridge.jp/
■米山さんの詳細 https://www.facebook.com/seiginokikaku/about_details

 

私もいろいろと相談させていただいております。過去には、相談から協働がはじまり、他のセクターを巻き込みながら障がい者雇用推進、学生と社会のマッチングなどを推進してきました。ここで協働の事例を1つ。

 

<NPOと企業の協働体験談①:障がい者雇用推進の協働>

当時、三重県は7年連続で障がい者雇用の下位を争う県でした。その不名誉な状況を打開したいと企業内のCSR推進担当として、まず、「旗」を上げました! 企業のHP上に「地域活性化推進室」を立ち上げ、地域を応援します! サポーターになります! 障がい者雇用に取り組みます!と宣言したわけです。

その旗に反応してくださったのが「Mブリッジ」でした。そこから協働が始まります。この「旗」は、今でいうところの「SDGs」に近いかもしれません。 企業側は、まずは独自に障がい者雇用をスタートさせ、モデル的な事例を実行しました。NPO側は、行政に相談し障がい者雇用を広めるための対話の場として「フューチャーセッション」を企画実施します。企業の事例を発表する場をNPOが整えるという協働です。これにより、企業は取り組みを評価され、NPOは課題解決のための橋をかけることができ、行政は、障がい者雇用推進啓発が進みます。その効果もあり、翌年から三重県は、下位集団から脱却し、2019年の都道府県障がい者雇用率ランキングでは20位までランクアップしています。

 

 

 

では、米山さんにいろいろと質問してみます。

 

Q.なぜ、米山さんは、社会から講師として求められているのでしょうか?

 

様々な外的変化から新たな解決策を見出していく必要がある時代の中で、企業は企業の中で、NPOはNPOの中でと同質性の高い人と対話を行っていると思います。その同質間での対話では、多様性が担保されず、変化が起こらないという状況が想像できます。
特にまちづくりには、新たな気づきと変化が必要となりますので、そのためには、多様性が担保された対話の場が必要となります。多様性が担保された場では、新たな気づきと変化を得られますが、偏見などから対話の際に意見の食い違いが生じることがあります。そのような場をよりよい場にするためには、ファシリテーターの存在が有効になります。この間を取り持つのが、中間支援の役割であり、結果的に私に講座のご依頼をいただいていることも背景にあるのかと思います。

 

※コカ・コーラ ボトラーズジャパンが支援するサステナブル推進支援「ミエミライ」in三重大学での活動風景
https://www.ccbji.co.jp/csv/community/mirai/

 

 

 

私は、米山さんに社内での講師と会社のサステナブル推進のコーディネートの依頼をしました。企業のサステナブル推進につながるステークホルダーとの接点を作るため社内を変えてほしいという依頼です。その内容は以下の通りです。

 

<NPOと企業の協働体験談②:サステナブルアドバイザー>

企業のサステナブル推進には、社会の時流を見誤らないようにステークホルダーとの良好な関係作りとステークホルダーの拡大による多様性の担保が重要です。そこで、講師と場作りを得意とする米山さんにアドバイザーの依頼をさせていただきました。早速、NPOと企業の協働による定期企画会議が行われ、

 

4つのプロジェクト

①ステークホルダーダイアログの開催

②地域人材を紹介するイベント

③NPOと企業によるワークショップの開催

④社内浸透を目的とした社内報の作成

 

が走り出します。

 

この4つのプロジェクトは、それぞれ企業とNPOのメンバーでペアを組み推進していきました。大きな協働をいくつかの小さな協働で動かす企画です。4つのプロジェクトは、それぞれ動き出しステークホルダーをみるみる拡大していきます。担当となった企業側メンバーは、外部からの刺激を受け、新たな視点を持ち始めます。その後の社内浸透が以前よりもスムーズになったことは、言うまでもありません。

 

この協働により、企業は地域からの信頼と社内浸透の推進という価値を得て、NPOは、寄付という活動資金を得ました。社内浸透に苦戦するサステナブル担当者の皆様、高額なコンサルタントの支援を受ける前に、米山さんのようなNPO法人に一度、協働の依頼した方が、費用対効果は高いかもしれませんよ。

 

※協働企画会議の様子(左NPO、右企業)

 

 

Q.サステナブル企業とは どんな企業だと思われますか?

 

企業のサステナブル統合の動きには、特に特別なことではなく、企業にとって忘れていたことを思い出し、肝心なところに気付き始めたと捉えています。環境が大きく変わり、対応するためには、パラダイムシフトが必要です。そのことに気が付き、サステナブルを得る企業があります。

サステナブルな企業とは、時流を読める、先見性のある企業のことだと思います。私は、今の時流は、「人」中心の社会とみていますので、Well-beingやQOLを感じて働けるような企業がサステナブル企業であると思います。

※QOL・・・Quality of Lifeの略。物理的な豊かさや個々の身辺自立のみでなく、精神面を含めた生活全体の豊かさと自己実現を含めた概念のこと

 

Q.企業はどのように街やステークホルダーとかかわるべきとお考えですか

 

SDGsやサステナブルを推進しようと考えているのであれば、現場のことは現場に聞かなければわからないですし、まちのことはまちに聞かないとわからないかと思います。企業の中だけで考えた独り相撲はすぐに世間にバレます。そうならないように、丁寧にステークホルダーの声を聴き対応することをお勧めします。遠いところの声と関わりながら検証していくことで先見の明を得られると思います。地域から愛さる企業になるために、ステークホルダーに直接関わり方を聞いてみてはいかがでしょうか?

 

Q.最後にサステナブル推進に挑戦する企業に応援のメッセージをお願いいたします。

 

サステナブルに挑戦する企業には、次世代が希望を感じるビジネスであってほしいと思います。日本財団のデータからも分かるように他国と比較すると日本は、希望を感じない若者が増えています。そんな若者たちが、生きる、働く、暮らすに希望を持つようにSDGsやパートナーシップで時流を読んで、ビジネスを実現して欲しいです。 

 

※日本財団調査レポート「18歳意識調査」

https://www.nippon-foundation.or.jp/what/projects/eighteen_survey

 

米山さん、貴重なお話をありがとうございました。引き続き、ご指導の程、よろしくお願い致します。深々感謝。

 

 

<編集後記>

いかがでしたでしょうか? 様々な企業のサステナブル推進に関わってきた米山さんへのインタビューとNPOとの協働の体験談。自社のみで頑張る、コンサルに先導をお願いするのも良いですが、地域を支えるNPOとの協働でも、ステークホルダーの拡大と良好な関係作りが実現されることをお伝え出来ていれば幸いです。

 

インタビュー後の会話で米山さんは、
「たくさんの企業をみてきたけど、サステナブルを経営に織り込んでいくのって難しいだろうね。きっと担当者は苦しんでいることでしょう」
「そもそも地域との連携は、ノウハウが少ないから」
「いきなりステークホルダーに意見聞くこともできないだろうし」

とサステナブル推進やステークホルダーとの対話の場作りの難しさを話していました。

 

ステークホルダー資本主義やサステナブル経営でお困りの時は、ぜひ米山さんのような経験豊富な中間支援のNPOにも相談してみてください。もちろん大人気の米山さんへの依頼もありかと思います!

 

 

最後に協働のポイントを参考までに整理しておきます。

 

 

■協働のポイント■

①解決したい地域課題を決める(CSR、CSV、SDGs)
→どんな課題があるのかは、地域にヒアリングすることをお勧めします。答えは、行政や中間支援組織が知っています。

 

②協働する意思があり、地域のサポーターであることを「旗」を立て宣言する
→今は、HPでの宣言が良いかと思います。旗は、解決したい地域課題をわかりやすく載せることをお勧めします。SDGsのアイコンなど参考にしてみてはいかがでしょうか。

 

③地域課題の解決を共有してくれる相手を探す
→上げた旗は、非営利セクターへの通行手形となります。解決のために協働してくれる相手にまずは、相談に行きましょう。

 

④それぞれのセクターのミッションを元に協働を企画する
→お互いのミッションを尊重し、WINWINの関係になるように絵にかきます。

 

⑤さらに賛同してくれる仲間を誘う
→必要な他のセクターも仲間に誘います。

 

⑥実行する
→実行します。まずは前例を作ることが大切です。写真や動画などの記録は忘れずに

 

⑦伝える、広げる(プレスリリースなど)
→プレスリリースも協働で行います。陰徳の美では、活動は広がりませんので、しっかり伝えていきましょう。

 

⑧結果が出たら、行政を巻き込む
→実行し、記録し、広報したら事例、前例となります。より大きく地域課題を解決するために、行政の支援を求めに行きましょう。

 

⑨県事業などに発展させ、継続性を持たせる
→動き始めた活動が県事業になる可能性も視野に入れて動き出します。

 

 

以上となります。今後の活動の参考にしていただけると幸いです。

 

<ネオキャリア 社長室サステナブル推進 担当:高山>
kohei.takayama@neo-career.co.jp

 

 

 

高山 功平

ネオキャリア社長室/サステナブル推進。日本サッカー協会公認B級指導者ライセンスを持つCSR推進担当者。1997年~2020年までロベルト本郷に憧れて様々な地域で子ども達にサッカーを教える。その傍ら渋沢栄一に憧れCSRの推進に目覚める。2020年4月にサステナブル担当としてネオキャリアに中途入社。