社長室サステナブル推進の高山です。
このコンテンツは、社内へのサステナブル活動の情報伝達と社外のサステナブル推進に孤軍奮闘されている企業のCSR、SDGs、サステナブル担当者の方々との交流や情報共有を目的として作成しております。
さて、今回は、勉強会の内容を決めるにあたり、職場の仲間に「どんな勉強会にしたらSDGsについて皆さんの理解が深まるでしょうか?」とのヒアリングからはじめました。仲間の回答は「SDGsは、大切なことだということはわかるものの、無知なために緊急性が低くなります、勉強会を通じてどんな問題が起きているのかを知り、何ができるのかを考えたいです」といただきました。そこで、SDGsの基盤となる環境に関する項目に焦点をあて、世界でどんなことが起こっていて、何ができるのかをまとめることにしました。
今回のキーワード
・SDGsバースデーケーキ
・SDGsの環境に関する目標「6」「13」「14」「15」
インデックス
1、SDGsってなに? 環境に関する項目とは?
2、SDGsの目標「6」「13」「14」「15」について
1.SDGsってなに? 環境に関する項目とは?
Transforming our world
(我々の世界を改革する)
SDGs(持続可能な開発目標)は、2016年から2030年の15年間で達成すべき国際社会共通の目標です。17の目標、169のターゲット、232の指標が設定されています。カラフルなアイコンが特徴的ですね。各国のSDGsを評価するインデックス&ダッシュボードによると2021年の日本のランキングは18位となり、目標「4」質の高い教育をみんなに、目標「9」産業と技術革新の基盤を作ろう、目標16「平和と公正をすべての人に」について、達成できていると評価がつけられています。一方で、目標「5」ジェンダー平等を達成しよう、目標「13」気候変動に具体的な対策を、目標「14」海の豊かさを守ろう、目標「15」陸の豊かさもまもろう、目標「17」パートナーシップで目標を達成しよう、については大きな課題が残っているという評価になりました。
「ONE PIECE」以上「鬼滅の刃」並みの認知度
朝日新聞社が2021年12月に実施した第8回SDGs認知度調査では、「SDGsという言葉を聞いたことがある」と答えた人が76.3%という結果なりました。認知度はどんどん高まっています。現在では、8割を超えているという調査も出ていました。大ヒット「鬼滅の刃」の認知度が80.1%、「ONE PIECE」が75%であることを考えると、SDGsは、日本中で知られていると考えた方が自然かといえます。これまで、Z世代中心に普及していましたが、徐々に普及が遅れていた中高年の女性層などにも認知は広がっているようです。この辺りは「レジ袋の有料化」や「ストローの廃止」などが大きく影響しているのではと思います。
環境に関係するSDGsの項目
SDGsの概念を表す構造モデルとして、SDGsウェディングケーキモデルと呼ばれる図(図右)があります。このモデルは、スウェーデンの研究者ヨハン・ロックストローム博士が考案したもので、SDGsの17の目標をウェディングケーキのように3つの階層「環境」「社会」「経済」によって表しています。この最下層の土台にあたる「環境」に含まれているのが、SDGs目標「6」「13」「14」「15」の項目です。この図では、持続可能な社会の実現には、「環境」の項目が重要であることを示しています。
「社会」と「経済」は
「環境」なくしては成り立たない
残念ながら日本は、環境の4つの項目のうち、3つにあたる「13」「14」「15」について大きな課題が残っているという評価を受けています。社会と経済を成り立たせるために、環境に配慮したサステナブル活動を企業に求められている背景には、こういったことが影響しているのかもしれません。どの業態であっても、環境に対する視点持つことが社会や経済を支えるうえで重要であると考えます。
2.SDGsの目標「6」「13」「14」「15」について
勉強会では、SDGsウェディングケーキモデルを用いて環境の項目の重要性をお伝えしたところで、実際に地球上でどのような環境問題が起きているのか事例を紹介し、企業ができること、個人ができることについて補足をしていきました。
SDGs目標「6」安全な水とトイレを世界中に
世界の水とトイレのの状況を知る一つの事例としてユニセフの「アイシャの1日」があります。エチオピアの13歳の少女が水を得るためにどのくらい時間を要するのか? 日本では蛇口をひねれば出てくる水ですが、アイシャは、毎日家族のために8時間かけて水を汲みに行きます。少女の一家が1日に使う水は、わずか5リットル、日本の1家族の1日の平均は300リットルです。水の環境改善を行えば、世界中で水汲みをしている子どもたちに時間と教育と希望が与えられます。世界では10人に1人が水に困り、5人1人が適切なトイレを利用できず、キレイな水がないことで年間180万人の子どもが命を落としています。
<企業や個人にできること(一例)>
・ウォーターエイドやユニセフのHPを見て寄付や活動に参加
⇒ウォーターエイド
⇒ユニセフ
・SDGsの目標6への取り組みに目を向ける
・海や川を汚さない
・水道の蛇口をこまめに止める⇒1分間で約12リットル
・皿に付いたカレーや油をふき取ってから洗う など
SDGs目標「13」気候変動に具体的な対策を
気候変動といえば、地球温暖化、脱炭素、CO₂の削減、エコロジカル・フットプリントなどが地球の状況を知るための一つの事例となります。エコロジカル・フットプリントから判断すると環境に負担をかけている国は、中国、アメリカ、インド、ロシア、日本が上位5か国となります。環境に負担をかけているのは、我々人間の活動であり、特に化石燃料と温室効果ガスに原因があると言われています。このまま温暖化に対して何も対策が打たれなければ、気温は最大で4.8度上昇し、ただ暑いだけではなく、海面上昇、洪水、食料不足、水不足、海と陸の生物損失など様々な影響やリスクが起こります。

・環境に配慮している企業と取引をする
・環境に配慮しない企業に投資していない銀行を使う
・冷房の温度を1度上げる、省エネの荷電を使う
・歩く、自転車に乗る、公共交通機関を使う
・アイドリングストップに取り組む
・エネルギーを必要以上に使わない節約生活する
SDGs目標「14」海の豊かさを守ろう
世界の海の状況を知る事例としては、水産資源の危機(乱獲)、海洋プラスチックゴミ、サンゴ礁滅亡の危機などがあります。世界の水産資源の34.2%が持続可能な水準を超えて漁獲され、海洋生物の量は1970年ごろと比較すると半減しています。また、ゴミの海洋投棄などを原因に海のプラゴミは増え続け、魚やクジラの胃の中や深海からもプラゴミが発見されています。このままでは、2050年には、海洋プラスチックごみが魚の量を上回ると言われています。何よりもプラゴミの寿命は400年以上と言われ、太陽の熱や紫外線によりマイクロプラスチックとなり、海を長い期間漂うことが問題視されています。
<企業や個人にできること(一例)>
・脱プラに取り組む(プラスチック用品を避ける)
・プロジェクトに参加する
・リサイクルの仕組みを作る
・清掃活動に参加する。実施する。
・海のエコラベル「MSC」に目を向ける
・マイボトル、マイバックを使用する
SDGs目標「15」陸の豊かさも守ろう
世界の陸や森の状況を知る事例としては、森林の減少、生物多様性、生態系の保護と回復、砂漠化、土地の劣化などがあります。先進国で利用しているポテトチップス、加工食品、洗剤、化粧品などに使用されるパーム油の生産は、熱帯林減少の最大の要因の一つとされています。伐採や火災などを要因として毎年東京都59個分もの森林が失われています。そして、その森林減少などが影響して年間4約万種類の生物が絶滅し、オランウータンやパンダなど3万種類以上の生物が絶滅危惧種に登録されています。
<企業や個人にできること(一例)>
・植樹活動に参加する。実施する
・森林保護団体を支援する
・RSPO認証のパーム油を使う
・商品の原料表示をよく見て選ぶ
・持続可能な森林管理の証「FSC認証」を取得する
最後に
SDGsの環境に関する項目の世界の現状を聞き、何を思うかは、個人差や組織差があります。「何かしたい」と動きだす人もいれば、「遠い国のお話」と聞き流す方もいます。それぞれ人生のタイミングで受け方は変わります。知ってさえいれば、いつの日か気になる時が来るかもしれません。問題は、知らせないこと、知らないこと。その次は、知っていても無関心であることではないでしょか?
多くの方が、サステナビリティが大切なことは理解しているものの、「自ら主体となってやるべきこと」ではなく「誰かがやってくれること」に捉えているのかと思います。サステナブル担当者として、所属している組織の方々に勉強会などを通じ、様々な視点で根気よく現状を伝え、自分事、関心ごとに変えていくことが非常に重要な役割であると考えます。私個人の経験則ではありますが、根気よく続けていけば、効果はジワジワと出てきます。
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<ネオキャリア広報室CSR/SDGs推進 担当:高山>
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