ステークホルダーインタビュー
社長室サステナブル推進の高山です。唐突ですが、一つの問いから始めたいと思います。
日本の若者は、未来に希望を持っているのでしょうか?
2019年11月30日に日本財団より18歳意識調査「第20回 ‐社会や国に対する意識調査―」が発表されました。そこにはとても気になる結果が掲載されています。調査は、インド、インドネシア、韓国、ベトナム、中国、イギリス、アメリカ、ドイツ、日本の9か国の17歳~19歳の男女各国1000名を対象に行われました。
・自分を大人だと思う 9位
・自分は責任がある社会の一員だと思う 9位
・将来の夢を持っている 9位
・自分で国や社会を変えられると思う 9位
・自分の国に解決した社会課題がある 9位
・社会課題について家族や友人など周りの人と積極的に議論している 9位
9か国のうちいずれの項目についても圧倒的な最下位となった国があります。その国とは【日本】です。そして、自分の国の将来に関して「良くなる」と答えた日本の若者は9.6%とこちらも最下位となりました。ちなみに1位の中国は96.2%です。自国の未来に希望が持てない若者たち、きっとその原因は、我々大人の行動や振る舞いにあるのかもしれません。
<参照>
■日本財団 18歳意識調査 第20回テーマ「国や社会に対する意識」(9カ国調査)
Z世代のサステナブル活動
若者がどのようなことに不安を感じ、なぜ未定に希望を持てないのでしょうか? 企業として、サステナブル推進担当として若者に希望を与える活動や対話の場を作らなければなりません。そこで、今回は、弊社と株式会社COOON、株式会社ORCaの3社で共に若者に希望を与えることを目的に協働して立ち上げたフューチャーセッション「サステナブルシップ東京」でサステナブル活動の一環として参加している学生メンバーにサステナブル活動で繋がることの価値や未来への希望についお話を伺いました。
<参照>
■サステナブルシップ東京で実施したフューチャーセッション
サステナブルシップ東京とは
サステナブルシップ東京は、2021年11月にサステナブル推進でつながった3社が、企業と学生が対話できる場を作りたいと協働で立ち上げた団体です。 現在、3名の社会人と6名の学生の9名のメンバーで運営しています。フューチャーセンターと呼ばれる地域の対話イベントを学生メンバーにより企画と実施までを行われています。これまでに2回のセッションを開催し、運営メンバーが徐々に増えてきました。
<フューチャーセッション>
多様な立場の人(サステナブルシップ東京の場合は、学生と社会人)を参加者に迎え、それぞれが向き合う地域課題をそれぞれの視点で話し合います。そして、対話により深掘りし、未来に向けた解決方法や希望を紡いでいく場のことです。立場の違いから関係者の行動や認識を変化させ、互いに協力してアクションを起こせる状況を生み出すことを目的とします。
メンバーにインタビュー
写真左上:ORCa代表山中さん/中央上:高山/右上:大学生白井さん
左下:大学生富岡さん/中央下:COOON代表船橋さん/右下:高校生美坂さん
今回、サステナブルシップ東京の中から社会人、大学生、高校生のメンバーが取材に応じてくださいました。なぜ学生が社会課題の解決につながる活動に参加するのか、実際のサステナブルやSDGsの感度はどうなのか、未来に希望を持てているのか、など色々と質問していきます。
学生の皆さんへの質問
Q.学生として運営メンバーに参加しようと思われた背景を教えてください。
白井さん(大学2年):実は、私は今までそれほどサステナブルやSDGsに興味を持ってはいませんでした。無知だからこそ知らない世界からたくさん学びを得たいと思いこの活動に参加しています。
富岡さん(大学4年):私は、大学での学びや普段の生活を通じて、食やモノの消費について社会での違和感を感じていました。この活動にお誘いをいただき、社会課題を解決するために、サステナブルの意識を広げるためにこのコミュニティーに参加しています。
美坂さん(高校生):学校でSDGsに取り組んでいて、頻繁に友達とも意見交換をしています。友達が、様々な外部のワークショップに参加していると聞き、自分も何か行動したいと考えていました。サステナブルに取り組んでいる学生や企業の担当者のお話を聞けるこの活動を通じて、自分の経験や知識を高めるためにも参加しています。
Q.実際に活動に参加してみてどうでしたか? 何か変化は生まれましたか?
白井さん(大学2年):
活動に参加する前は、ネットやテレビなどからサステナブルやSDGsの情報を得ていましたが、すべてインプットで終わっていました。活動に参加して、企業の方や学生の皆さんと対話をすることでアウトプットの機会をいただけて理解が深まっています。変化としては、高校生のメンバーが参加したことにより、大学生の自分よりも若い世代がサステナブルに対してより高い関心をもっていることを知りました。社会課題の解決には、年齢は関係ないと考えるようになりました。
富岡さん(大学4年):
企画や運営に対して企業の方にアドバイスをいただく中で、イベントを開催するためにゼロからイチを作ることを経験できて嬉しく思っています。活動に参加するようになってから、街を歩いていたり、電車の中、SNSの広告などでこれまでは見えていなかった、色々な企業のサステナブル活動への挑戦が目に入るようになり、視点の変化を感じております。
美坂さん(高校生):
日ごろから学校内でサステナブルに関する対話の機会をたくさんもらえていますが、高校生同士ではできることに限りがあります。活動に参加することで実際に行動している企業の方や大学生の方と話すことができ、高校では得られない経験をしています。年齢や所属、考え方や経験が異なる多様な年齢が集まる場であってもサステナブルがテーマであれば、対話ができることを実感し、多様性の重要性を理解できるようになりました。
Q.今の学生は、皆さんのようにサステナブル、SDGsに関心がある方ばかりなんでしょうか?
白井さん(大学2年):
私の周りは、正直なところ、そこまでサステナブルやSDGsに関する関心は高くないです。言葉は知っているけど、実際に行動に起こしている友人は、周りには見当たりません。
富岡さん(大学4年):
今の私の周りは、関心の高い方ばかりです。、自分がサステナブルに興味を持ち動き出したことで周りの環境が変わりました。大学内で関心の高い人に出会うことはありません。
美坂さん(高校生):
私の周りは関心の高い方ばかりです。私自身も関心の高い友達に触発されてサステナブル活動を探すようになりました。サステナブルやSDGsに興味を持ち、活動に参加し、インスタで自分の興味のある社会課題を発信する友人がたくさんいます。私の通う高校特有かもしれませんが、SDGsの課題から1つ選び、3年間で論文を書くという授業があるほどです。地元の同級生や一般的な高校生は、理解していないのではと思います。
Q.ズバリききます!未来に希望を持っていますか?
白井さん(大学2年):
今が楽しくない、やりたいことがない状況だと希望は持てませんが、私は、楽しく、やりたいことも見えてきているので希望を持てています!
富岡さん(大学4年):
最近、同世代の中に社会を変えていこうと動き出す人が増えているのを感じています。その広がりに希望が持てます。
美坂さん(高校生):
正直なところ不安です。社会的なことに興味のある人しかアクションを取ることが出来ていないことに危機感を感じています。自分の周りの一部の人が行動しても解決にならないと感じています。海外の先進国と比較したときに、日本の現状に一抹の不安を覚えます。
社会人への質問
Q.なぜ学生をメンバーに加えようと考えたのですか?
船橋さん:学生を加えた理由は2つあります。一つは、サステナブルに興味のある学生と一緒に活動したいと考えたこと。もう一つは、多様性を重要視したかったことです。基本的には、直接お話して自分の意見を持っていて、ディスカッションに参加できそうな学生にお声がけして、メンバーに誘っています。
山中さん:どんなテーマに取り組むにしても対話を行うためには、多様性が重要です。そのためには学生が必要と考えてメンバーに加えました。学生という自由な立場の価値観を学生のうちにアウトプットする経験を積んでほしいという想いもあります。
Q.学生を場に加えることでどんなメリットが生まれましたか?
船橋さん:
社会人だけの場になると社会ってこういうものだよねというようなバイアスがかかってしまうことがありますが、学生が参加することで異なる視点の自由な意見が生まれ、新たな気づきが生まれました。多様性の重要性を改めて実感しています。
山中さん:
大人では見えない視点で意見をもらえることで気づきをもらえることが大きなメリットかと思います。
皆さんへのお願い
サステナブル活動を推進している、これから推進しようとしている企業にメッセージをお願いします。
白井さん(大学2年):
サステナブルの推進は、社会にとって大切なことです。サステナブル活動を推進している企業を魅力的に感じます。大変かと思いますが、続けていただきたいです。
富岡さん(大学4年):
サステナブル推進への取り組みは、社内の理解などを考えると難しいところがあるかと思います。何年か後には、サステナブル推進が当たり前になる世代が社会に出てきます。その日まで社会が変わると信じて取り組みを続けていただきたいです。
美坂さん(高校生):
世間で広まってきたものではありますが、流行りものとして扱われたり、一過性のものとして扱われる面もあるかと思います。担当されている方は、大変かと思いますが、応援しております。
船橋さん:
サステナブル推進担当といっても企業によって求められている範囲が異なるかと思います。企業の理解度や組織の大きさも違うかと思います。非財務の価値向上に取り組む方々と苦労を共にして、サステナブルシップ東京を通じて並走や伴走をが出来たら良いかと思っております。ぜひ、一度ご参加いただき、お話をお聞かせいただきたいです。
編集後記
日本の若者は、未来に希望を持っているのでしょうか?
日本財団より18歳意識調査から感じたこの問いから、今回のステークホルダーインタビューは始まりました。希望を持っているかどうかには、どうやら個人差があるものの、サステナブルに興味を持ち、行動した学生には、視点に変化が生まれるようです。そして、フューチャーセッションによる社会人と地域課題に関する対話を通じ、学生も社会人も多様性の重要性を体感できるということがわかりました。この対話から生まれる多様性の価値認識には、希望を感じられるのではないでしょうか?
サステナブル推進に関心のある学生の話を聞き、社会人側の遅れを感じ危機感を抱いています。高校生の「自分の周りの一部の人が行動しても解決にならない」「海外の先進国と比較したときに、日本の現状に一抹の不安を覚えます」という発言。同じような不安を持つ社会人が果たしてどれだけいるのでしょうか? 大人として、現在を支えている企業の一員として、未来で生きる若者たちのたちの不安を少しでも解消するためにも、若者たちに希望を与えるためにも更なるサステナブル活動が必要となります。何から始めたら良いかわからないという企業の方は、ぜひサステナブルシップ東京のフューチャーセッションに参加してみてはいかがでしょうか? 学生や異業種の方との対話できっと活動や協働のヒントがつかめると思います。ご興味ある方は下記メールアドレスまでご連絡ください。
<ネオキャリア 社長室サステナブル推進 担当:高山>
kohei.takayama@neo-career.co.jp