interview
2020年2月27日

<卒業生インタビュー>日本経済と資産運用に一石を投じたい。まずは不動産業界を通じて、オンラインファンドという新しい金融/投資の選択肢を創り上げる。

FUEL株式会社 代表取締役
細澤 聡希
ネオキャリアが従業員200名から2,000名へと急成長するフェーズにおいてCFOを担っていた細澤氏は、「新規事業案の発掘」や「将来の経営者育成」を目的として年に一度開催される新規事業プランコンテスト「ネオつく!」の第1回グランプリを受賞。そのアイデアを具体化し、現FUEL株式会社への起業へと至った。アイデアの種をどのように実現し、そして社会にどんなインパクトを残そうとしているのか。胸の内を伺ってみた。

「ベンチャー界隈の金融プラットフォーム」をつくるというアイデアが、すべてのはじまり。

ネオキャリアの前職は投資銀行。そこでIT、金融、不動産業界を7年担当し、資金調達やM&A等のコーポレートファイナンス業務に従事してきました。そんな私のキャリアと拡大フェーズにあったネオキャリアとご縁があり、CFOとして2012年にジョインすることになりました。

その頃は、ネオキャリアも今ほどは多角化が進んでおらず人材領域を中心に事業展開していたため、これから会社が大きく成長していくためには新規事業を立ち上げることが非常に大きな経営課題でした。海外領域や介護領域の事業が立ち上がったのもまさに2012年でした。ボードメンバーが主導で新規事業を立案するだけでなく、社員のアイデアを元に新規事業を立ち上げる仕組みをつくろう。その方が絶対に社員全員のモチベーションがあがるだろう。そうして立ち上がったのが、新規事業プランコンテスト「ネオつく!」です。様々なアイデアが出てきて決勝には5つ程の案が残りました。結果、私ともう一人の社員とで提案したアイデアであるクラウドファンディング事業が優勝しましたが、その時の事業アイデアがまさに現在FUEL社が手掛けるクラウドファンディング事業だったのです。

ネオキャリアの社員は人材サービスを通じて多くのベンチャー企業に営業します。一方で、人材サポートをして欲しいがお金が無いといった理由で失注するケースも多く見受けられます。ネオキャリアとして、人材のサポートだけでなく、事業資金のサポートをしたいと思いました。ただ、当時のネオキャリアはベンチャー企業への投資や融資を行うほどの企業体力がなかったため、インターネットを通じて多くの投資家からお金を集めてベンチャー企業に融資する仕組みを創ったら、画期的かつ本業の人材事業とのシナジーも高いと感じました。このアイデアとスキームを掛け合わせ、ベンチャー界隈の金融プラットフォームをつくるという企画で決勝に挑み見事優勝することができたのです。

現在のFUEL社では、そのままその当時の企画を事業化しようと動いたのですができませんでした。机上の事業アイデアを実事業にすることはハードルが高いです。理由は、様々なベンチャー企業に融資するにはその事業や会社を熟知し審査する必要がありますが、ベンチャーも色々な業種があり審査するにはハードルが高かったためです。結果、私自身がネオキャリア入社前に経験してきた不動産業界に絞って事業展開しようと事業内容のピボットをしました。

私が独立する際には、ネオキャリアの4人の個性豊かな役員にはそれぞれ快く卒業を祝って頂き、同時に多額の出資を頂きました。その出資なくして今のFUEL社は存在しないので、一生足を向けては寝られないですね。「ネオつく!」から一つの会社が生まれ、雇用が生まれ、サービスが生まれ、ユーザーがつく、という希少な経験をさせて頂いていること、本当に感謝しています。

苦労を乗り越えて迎えた2月4日。クラウドファンディング・プラットフォームが立ち上がった。

先程も触れた通り、私自身が大学時代に建築学科を専攻し、実家も不動産事業を営んでいる。そして投資銀行時代に不動産業界を担当していたこともあって、熟知している不動産領域に最初の事業ドメインを定めました。

事業内容は金融のややマニアックな話が必要になるので、しちゃいますと、、、不動産業界のB2Bの世界では一般的に行われている「プロジェクトファイナンス」をB2Cに開放するというものです。難しいですよね。

デベロッパーなどの不動産会社は、不動産を仕入れて付加価値を付けて売るというビジネスモデルです。分かりやすく言うと、更地を買ってきて建物という付加価値を建設し売る、ということです。その際の仕入資金は、特に大規模な不動産取引になればなるほど、「プロジェクトファイナンス」という形で集めるケースが多いです。こうした一時的なプロジェクト用資金は、会社の業績や資産内容で資金調達する「コーポレートファイナンス」とは別の調達形態をとります。つまり、そのプロジェクトが生み出す収支計画を審査することで資金調達を行うんです。各金融機関には、「コーポレートファイナンス1課」という部署のほかに、「プロジェクトファイナンス1課」のような部署が存在していて、金融業界では極めて一般的ですが、やはりマニアックですかね。

FUEL社では、B2Bの世界で流通していた「プロジェクトファイナンス」を、インターネットを通じて情報開示することで、一般の個人の方々にも参加可能な世界を創り上げていこうとしています。こうした実ビジネスに使われるお金を直接個人の方から調達するという直接金融に近い新しい金融のカタチは、これまでの金融の世界に一石を投じるサービスとして評価頂いており、SONY等の大手企業からも出資を頂きサポートして頂いております。不動産業界だけでも年間5兆円程がこのように証券化され取引されており、その市場規模の大きさも面白さの一つです。幸いにも追随する類似サービスや競合はどこにもいないので、これはFUELがやるしかないと突き進んでおります。

道のりは順風満帆だったわけではありません。個人の方からお金を集めるには金融商品取引業という免許が必要ですが、どうしても財務局などの当局とのやりとりに長けたコンプライアンスオフィサーを専任で置くことが必須でした。同年代でかつクラウドファンディングの経験がある適任者はいない状況で、コンプライアンス担当者を見つけるのに2013年10月に「ネオつく!」で優勝してから3年かかりました。最後は、加藤専務に無理言って土曜に面接してもらった記憶があります。そして、そのコンプライアンス担当者が当局から免許を取得するのに更にもう3年かかりました。老けましたね。でも地道に、そして着実に歩んできた結果、2020年2月4日に、第一弾となる「CRE Funding」というサービスを始められました。「CRE Funding」は、東証一部上場企業のCREグループのクラウドファンディングサイトですが、国内初の物流施設に特化したクラウドファンディングとして多くのメディアにもとり上げて頂いております。今後も複数の上場不動産企業のクラウドファンディングサイトを運営していく予定で、さらにはそれらを纏めたポータルサイトのような「FUELオンラインファンド」というサイトもオープンしていきます。

使命感と危機感しかありません。応援してくれるユーザーが付き始め、世の中が少しずつ動きはじめている。有難いことに、不動産業界、各種メディア、そして投資家の方から多くのポジティブな声も頂きました。期待を裏切らないよう、自分達が誰よりも信じたこの事業アイデアを必ず育て切る、そんな思いで取り組んでいます。

 

日本経済や資産運用の正しいあり方をつくるために、やることはまだまだある。

日本には欧米と比べ資産運用の文化が根付いていません。実際に眠っている個人の現預金は900兆円以上と言われています。そんな豊富な資金がビジネスの世界とシームレスにつながり企業が活用できるようにできたら企業や日本経済の発展に寄与することができ、投資家にとっても新しい資産運用の選択肢を創ることができると思っています。インターネットが出来て、スマホが生まれ、モノ・サービスの消費をインターネットで完結する文化が根付きました。そして、ネット証券ができ、インターネットで資産運用する文化も徐々に根付いています。FUELは、さらにもう一段踏み込んで、実ビジネスに個人が参加できる新しい金融のカタチを創っていきます。FUELの事業が実績と信頼を積み重ねていくことでFUELを信じて頂き、資産形成をする上で欠かせないプラットフォームだと思ってもらえるところまで成長させたいです。FUELの使命だと思っています。

いずれは不動産だけではなく、様々な領域でも展開していきたいと思っています。それこそネオキャリアに所属していたときのアイデアだった「ベンチャーへのクラウドファンディング」もいつかはやってみたい。まずは不動産業界に無くてはならないプラットフォームを創り上げ、次のステップに進んでいきたいですね。日本経済の正しいあり方をつくるために成長あるのみですね。